石垣島などに行ってきた2019【その3】

3日目 ジェットコースター

 

旅行に行くたびに、
「よーし今回こそは早起きして宿の近くのいいお店を見つけモーニングをしよう」
という野望に満ち溢れるのだが、大体眠気に負けるので実行できるのは三回に一回ぐらいである。
今回は幸いどうにか起きることに成功し、隣の「Blue Cafe」に駆けつけることができた。
観光地価格なのにパンが冷たいのは少々残念だが、種類はいろいろ選べたし、珈琲はさすがにおいしかった。

 

 

食器もちょっとロイヤルコペンハーゲンを思わせる色合いでかわいいですね。

 

さて、今日は早朝から船に乗って、西表島と由布島をちょっぱやで巡る半日ツアーに参加する。
なんでちょっぱやかというと、昨日博物館に行き損ねたからであります。
夕方には飛行機なので、午後は是非ともこれに充てなければいけない。でなければなんのために来たのか……。

さて、なるしまゆりファンの私にとって西表島といえば、原獣文書のモデルでしょ?ぐらいの大自然イメージ。し、新大陸だよ……。
噂のピナイサーラの滝とかは半日ツアーではもちろん行けなかったが、浦内川クルーズだけでも圧巻であり、大陸の巨大な河川を見たことがない私は、河の「質量」をこんなにもずっしりと感じたのは初めてだった。
そこかしこに浮かぶ黄色い葉っぱはなんだろうと思ったら、マングローブが汽水域から吸い上げた塩分を溜めている特別な葉っぱ。塩分が限界になったら河に落ちるそう。

 

 

茫茫とした水面で揺れる様子が、鮮やかで美しい。

 

時折小雨もぱらつく中だったが幸い大降りにはならず、上流部の停泊所からは歩いて蘇芳の巨木を見に行くことができた。
正確にはサキシマスオウノキといって、いわゆる古典に言う蘇芳ではないようだが、染料に使われる点は同じ。
巨木を見るのはなんか、いいですね。
なんとなく巨木と滝は同じ存在感ですね私の中で。
サキシマスオウノキの写真を、ちょうどその前の日に久々にLINEしてくれたこちさんにリアタイで送ったところ、「リボンが巻きついてるみたいでキレイ!」って返ってきた。わー言われてみれば確かにリボンみたいだー。

 


船が着くたびに押し寄せては何やら感心して去っていく観光客たちも、この大木にしてみたらなんやねんって感じだろうなあ。

 

 

同じ河を今度はくだってバスに乗り換え、由布島へ。
由布島は西表島の周囲に点在している小島のひとつで、遠浅の海を水牛車に乗って行くことができる。人間よりも水牛のほうが多い島。

 

それはともかくここまでの旅で知ったが、


「水牛だーーーー!水牛だよはとのさん!!」
 

めちゃくちゃ動物好きだねキミ!?私も好きだけど!!
まあ家を犬さん猫さんうさぎさんアヒルさんワンダーランドにしたいと言っている人だもんな……。(今後アヒルが来れば達成できる模様)
水牛に目を輝かせて大興奮する沖バナさんでしたが、水牛は口蹄疫の予防のため、部外者が撫でるなどの接触を行うことは禁止。
牛さん独特のもったりしたやわらかい表情をしている、このゆっくりした水牛に曳かれる車で海を渡る。

まあ例によってちょっぱやなので、島の滞在時間は三十分ぐらいだけど。

 

 

働く水牛とのんびりした水牛。

 

 

かつてマラリアが猖獗を窮めた西表島を避け、人々が集落をつくっていた島は、現在は水牛と睡蓮の島になっていた。

私にとって西表は「太陽の子」の島でもある、

 

 

「水牛の面倒を見る太公望……」
「イリオモテヤマネコの仔猫とあそんでやる太公望……」
うっかわいい。
いやーでも全体に言えることですが、西表島ももうちょっと時間取りたかったな。
 

未だ三月の光の下で、ここでは田植えが済んでいる

 

さて石垣島に帰る船の中でガン寝し、先にお昼を食べる案も却下して、ようやく我々はやってきた。

 

石垣市立八重山博物館へ。

 

ではここで念のため何故私が、石垣島へ沖バナさんとやってきたのかおさらいしよう。
沖縄文化に興味のある方々は、石敢當というものをご存じかと思う。
沖縄や東シナ海一帯の地域に広くみられる魔除けの石碑で、元は福建省発祥だという。私は台南でも見かけたし、鹿児島やミャンマーにもあるようだ。
この石敢當にまつわる伝説のひとつに、「太公望こと姜大公が人々のために魔除けへと身を変じた」というものがある。
えっ……。
何それ尊すぎない?
そして姜大公の名が彫られた石敢當が、国内では石垣島のこの八重山博物館だけに残っている。
その話を聞いてから、ずっとここに来たかったのだった。
太公望に会うために。

まあ……太公望さんがこんな変質者に会いたくないとしたらその気持ちもわかるんだけどさ……。
(泣きながら無駄になった飛行機のチケットを握りしめる)

 

八重山博物館自体は小ぢんまりとした場所で、展示室も一室のみ。
その分入館料も300円と安価で、気軽に八重山の文化に触れることができる。
そんなに観光客向けらしさはなく、沖バナさんと私が入った時、館内は誰もいなかった。

 

「くくく……さんざん妨害されたがついに来たぞ」
「くくく……ようやくご対面だ……」

(※いくら人がいないとはいえ実際に館内でこんな発言はしていません)

 

それにしても博物館の中で石敢當ひとつ探せるのか?今は展示してなかったらどうしよう……という不安を胸にいざ展示室へ、
入った瞬間入口の脇にその石敢當は鎮座していた。

 

「わーーーーー!すーす!!!!!!!(小声)」

 

それは割と大きく、我々の腰ぐらいまであり、彫られた文字の掠れ方が、歴史の重みを感じさせる。

 

「大公在此」

 

はあ……はあ……。
ここに……太公望が……(いません)

 

えっいや違う。
そんな目で見るな。
我々とて別に石に興奮する変態なわけではないです。いや、紙の絵に興奮している時点であんまり変わらないような気もしてきたんですが、そこには気づかないでほしいですね(やや早口になる)

 

最初に言葉があった、ととある神は言ったが、封神ジャンル者にとっては、最初に殷周革命があった。

この全てに先行するところの、幾重もの歴史の帳に隔てられた史実があり、そこから生まれた殷周革命の伝説があり、数しれぬ道教の神々の信仰の中から小説・封神演義が生まれて、やがて信仰と物語は海を超えた。
そうしてその一つはこの古い魔除けに結実しており、また一つが青森出身の一人の若い漫画屋の手により、「太公望」として生まれたのだ。
これが興奮せずにいられるのか。
(真顔)

 

結果、人がいないことをいいことに、石敢當の前で長いこと立ち尽くす女二人がいた……。

 

どれくらいいたんだっけ?(いまいち記憶がない)
でも八重山の習俗や歴史に関する展示も充実してましたよ!

八重山の婚礼行列の人形。人の葬られる甕。無学なので違いが分からない数々の、たくさんの海を越えてきたであろう古い舟たち。そういえば私は昔柳田国男に著しく傾倒したのに、膨大な著作を時系列順に追って行ったら途中で力尽きて、「海上の道」まで辿りつかなかったという間抜けな経験を思い出すなどする。

しばらくいるうちに我々以外の見学者も増えてきたので、名残を惜しみながら辞することに。

 

お昼は「石垣島ペンギン食堂」という店に行ってみたくて、昨日も今日ものぞいてみたのだが閉まっていた。
代わりに近所のペンギン食堂が経営するお店でお土産買いました。回鍋肉の素とか。
というか今回下調べしたり沖バナさんが下調べしてくれたお店はほとんど行けませんでしたね!(まあ最初に物凄い勢いでスケジュールが狂ったからね)(それでも楽しかったのですごいけど)
というわけで石垣港に一度戻り、港湾ターミナルの中の小さい食堂で食べることにする。


実は私こういうターミナルにある食事処が好きで、というよりもターミナル自体が好きで、なんとなくざわざわした感じがとても楽しい。そう私は金門島で全く用事もないのに、対岸の中国本土・厦門に渡る港を単に見たいからという理由で、炎天下二・五キロ歩いて行った女。
食堂ではマグロ丼と、じーまみー豆腐をチョイスし、沖バナさんは所用で外に。

じーまみー豆腐は沖縄名産の落花生の豆腐みたいなもので、ぷるっぷるのつるっつる。身内はみんなこれを愛している。
したら沖バナさんが爆笑しながら店に戻ってきた。

 

「鳩野さんたいへん!

店のおばちゃんがそこのお土産屋さんで、『じーまみー豆腐ない?今日はもうない!?』って言いながらすごい勢いで探してる!!

 

予想外の事態に私も耐え切れず爆笑。
いやーすごいよこのお店、持ってるよ。なんかそこまでして探してくれたら、もうなくてもいいよじーまみー豆腐。
やがておばちゃんがマグロ丼を持って現れる。
「ごめんなさいね、じーまみー豆腐切らしてました」
「は、はい!」
私たち笑わないように必死だったね……。

 

新鮮なマグロ丼は大変おいしかったです。

 あとなんでもとにかく汁物の代わりにデフォルトで沖縄そばがついてくる。(おいしい)

 

さて、今回の石垣島行のオチは空港で待ち受けていた。
ちなみにTwitterでも書いていない。
石垣空港では大好きな「石垣の塩せんべい」を買ってウキウキだった鳩野さん、グアバのジェラートも食べたし、さて搭乗だと立ち上がった。
その瞬間私は愛用のiPhone6sをぽろっと取り落とし、それは「コーン」みたいな音と共に床におちた。
でも高さはベンチから30センチぐらい、大したことじゃない、音も軽い感じだったし。
「鳩野さんだいじょうぶ?」
「あっだいじょうぶだいじょうぶ……だいじょうぶじゃ……ないかも……」
拾い上げた愛用のiPhone6sは、なんかあんまり見たことのない状態になっていた。
具体的に言うと液晶画面と本体の部分がぱかっと分離していた。
「はえ!?今の!!?なにこれ今のやつで!!!!?」
あんな軽い音だったのに、いや精密機械だし結構古くて今までも修理してるから油断できないのはわかるけど!!!
「えーーーーーー……」
顔を見合わせる沖バナさんと鳩野。
考えていたことはひとつだ。
思えばやはり今回は、最初からおかしかった。
まさかの搭乗予定飛行機を逃す。
車に乗れば表示を見てたのに一通に迷い込んで逆走する羽目になる。
2日目も搭乗口を間違えて直前ダッシュする。
旅行先で財布を忘れる。
そして最後がこれである。

「……楊戩だね」

沖バナさんがぽつりとつぶやいた。

「!?」
「だって太公望はいくらなんでもこんなことしないよ!これ恫喝だよ!早く帰れ的な!!」
「わ、わかるーー!太公望はこんな暴力的な真似しない!楊戩だよ!楊戩さんすいませんもう帰ります!」

半分ぐらい本気で言っていたが、楊戩もいい面の皮である。
いやでもだって…太公望に会いに来てこんな目にあうの…
符合がすぎたよねうちらの中で……。

 

なお、帰り着いてから探したところ沖バナさんの眼鏡がどっかで紛失しており、上記のトラブルは最後のものではなかったことが判明する。
石垣島は……良いところです……。

 


この日はその後も終わらず、那覇についてからもiPhone修理屋さんに連れてってもらったり、国際通りをそぞろ歩いたり、沖縄のデパ地下兼スーパーみたいなところで沖縄県民の普段の生活を拝見したり(めちゃめちゃ楽しかった。知らない魚がたくさん売ってた。市場も好きなんですがまた違った雰囲気がある)と盛りだくさんでしたが、長くなるのでこの辺で。

 

次回、最終日!

 

グアバのジェラート

 

追記。

この三日目って実はなんかものすごく寒くて、石垣でも西表でも終日冷たい風がふきすさんでは大粒の雨が曇った空からばらばらと落ちてくるような天気だったんですが、なんか今になってみると興奮がすごくて全然天気の印象が残ってない。

当日は

「まさか西表島まで来て寒さに震えるとは…」

って言い言いしてたのに…

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