時には昔の話を

 突然だけど私ハガレンではアルエドだったんですね。
私はロイエドだったよ!とかいやハボロイでした!とか他ぜんぜん違ったとか、そういう方がいたらすみません。別にそこまでがっつり語ろうと言うわけじゃないですが、駄目そうだったらこのエントリはバックプリーズ。
いやね、あの漫画のなにが凄いって、読んでない人もキービジュアルで見たことはあるかもしれないですが、アルフォンスって見た目甲冑なんですよ。
作中で会う人はみんなうわっ鎧!ってびっくりするし、読む方も視覚情報があるから当然のようにまず鎧だと思ってる。物語背景を理解しても、「そういう背景を持つ鎧」だと認識してる。それでも漫画を楽しむのにはいっさい支障がないからです。
しかし、当たり前の話ではあるのだが、実はエドだけはそうではない。
エドはアルフォンスを「自分の十四歳の弟」としてしか会話していない。私は心の目でエドと喋っている鎧の位置に、そっくり人の形の十四歳のアルフォンスを置いてみたことがある。それでも少しも違和感がない。これは凄いことであります。
何故なら、実は二人の幼なじみのウィンリィはそれができていないからです。
私は勿論ウィンリィが嫌いというわけではない。私は基本女性キャラは応援したい方だし、その中でも彼女は充分魅力的で、作者の理想的な女性像を詰め込まれたキャラクターだと思っています。同時にとても普通の女の子である。

普通の女の子は、幼なじみの兄弟の弟が消えて、代わりに現れた中身のない甲冑を同じその存在だと考えるのって凄く難しい。それはちょっと想像すればわかることで、彼女はなにも悪くない。

でも、だから二人が故郷に帰ってきた時、実はウィンリィはアルフォンスとほとんど話をしていない。そこに人の形のアルフォンスがいたら不自然だと思うくらいに。読み手の多くはなにも感じません。何故なら読み手にとってもアルフォンスは、どちらかといえば「it」であるから。
この、よく見なければ気づかないギャップ、意図的なのかもわからない恐ろしいギャップが私を当時アルエドに傾倒させた最たるものでありました。作品の中に読者の大部分が見えていない影があり、「そこ」では実はこの兄弟はずっと二人きりなのです。
まあ大分昔のことなので記憶も若干改変されてる気がするし、この人腐女子独特のレンズ入ってるからあれなんですけどね……すみません……。

いきなり封神サイトで長々書いてなにが言いたいかというと、私はこれと同じ視覚と実存とのギャップを太公望にも見たのだ、という話だった。

太公望が72歳なのはあれ、本当に72歳じゃないですか。(後々もっと年とるけど)
正直言って太公望の言動って、多分ビジュアル的にもリアルおじいちゃんがやってた方がずっとしっくり来ると思うわけですよ。口調は当たり前としても被り物で若い娘(蝉玉)をからかうとか、戦闘中いきなり調子に乗るとか、もう完全に飄然通り越してひょうきんなジジイじゃん!これが少年の外見だからともすると「電波なこだなあ…」という感想になってしまうんですけど、実際のとこ老望がやってると思えばそんなに違和感ないです。私が太公望の性格は基本呂望から60年かけて熟成されたものでそこに始祖云々の絡んだ断絶は(そんなに)ないと思っているのは、太公望の言動に紛れもない「老成」を感じるという理由もあります。てか、老望って言い方かっこよくない?ラオワンですよ!そんなことないですか…。
視覚情報とゆうのは強いもので、読み手が太公望をわかってはいても少年として捉えてしまうのとまったく同じように、作中の人物の多くもやはり太公望を「独特な言葉遣いの子供」としてとらえている。若手の道士は殆どだし、姫発なんかもそうじゃないですかね。外見年齢考でもちらりと触れたけど、天化だのが気軽にスースをおんぶするのは多分彼を子供だと思っているからじゃないのかな?でも太公望の側からすれば、気軽に「おんぶしろ」って要求するのは自己認識がジジイだからであって、ここにもギャップというのはやはりある。ちなみに私は楊ゼンが太公望をおんぶしたことがないのも気になっていたりする。この微妙な距離感……っていうか襟首持ってたことならあるのにな……。猫か!
武成王、姫昌あたりの大人組もまた、太公望を「大人」として接しているなあと思う人々である。
全然とりとめもないエントリですが、例の懐古?オンリーのジャンルのひとつにハガレンがあって、懐かしさでふと思ったことを書いてみた。
あっ結局サークル参加はしませんが、当日は多分霧中さんのスペースで売り子をしています。

饗宴、或いは

なんというか、太公望が受けすぎるせいで楊太については関係の逆転が起こりようがないんだけど、「何で美しく!強く!優秀な!この僕を抱いてくれないんですかああああ」と泥酔してわめきながら師・ソクラテスの元に半裸で乱入してきた本当に才能容姿家柄すべてが最高級のアルキビアデス君のこと考えるたびに楊ゼンとイメージがオーバーラップするのはいかんともしがたい。

参考。(これの左で物凄いはだけかたしてる人です)

よく古代ギリシャは同性愛が盛んだったというけど同時にギリシャの同性愛は年長者が年少者を導くものだったっていうのもよく言われるので、やっぱり下剋上は恥ずべきことで社会的には禁断の愛だったわけだよね〜と最近よく思うのである。
でも年長者でも受けの快楽が忘れられないとか年少者でも獣性ほとばしってるとかで、時々はそういった、閨を人目に憚るカップルがいたのではないか?と考えるとなにやら優しい気持ちに。
アルキビアデス君も本気で師を愛してるなら、どうせ後に国賊化しちゃうわけだし行きがけの駄賃で下剋上やっときゃよかったんじゃないでしょうか。後世「衆愚政治を代表するデマゴーグ」(※ウィキペディア参照)とか呼ばれちゃうような人でもそれはやっぱり駄目なのか。むしろやっとけばいい方に向かったかもしれないよ!楊ゼンみたいにいい統治者になれたかもしれないよ!!

もう一つの神話

以前Twitterでやった話が結構私にとっては重要な気がしたので、今更だけど再構成してみた。
楊太、というより太公望について少し。

太公望って極端な話をしてしまえば、「誰でもいい」んですよ多分。
これって私が一部の楊太の人に「!?」って思われ続けてきた思想の核んとこにある捉え方なんだけど、やっぱり太公望は姫家じゃないなら誰でも変わらなかったと思う。
執着されて追いかけられて欲望を向けられつつもそれだけじゃないんだと伝えられ、全部ひっくるめてあなたじゃないと駄目だと言われ続けて、いつか折れる日が来るとしたらそれは相手が楊ゼンじゃなくても有り得る話だったと思うのです。
でもそれは楊ゼンだった。普通にそんなやつ私の中でも楊ゼンしかいなそうだし。よかったね。って話なのです。てゆうか他人事みたいに言ってるけどよかったねというのは私にとっても、あーほんとよかったー!ですよ。本当によかったよ。

だいたい太公望の内面だけから考えてみると、うっかりしたら「ハゲでちょっと小太りで唇が厚くて目は意味もなく二重の、人によってはキモいと言われる周兵上がり 45歳バツイチ(現在仕事なし・DVの前科あり)」とかでも、長い間すごい熱意で来られたらもしかしたら折れちゃうんじゃない?という物凄い恐怖がありますね。
いやさすがに上記の例はまあないとは思うけど。まず太公望さんの社会認識からして仕事をしてない男は論外だから「仕事を探せ」って言うだろうし。でもそれってもう関わっちゃってるじゃん!ちゃんと仕事したら付き合ってくれるの?って思われちゃう勢いじゃん!
そういうところが大変怖い。
太 公望は自己評価が低いっつうか、ない。社会的に周の軍師やってたころはそれに代わるそれ相応のものを持っていたはずだけど、絶対的な基準では多分評価して みたことがないのです。そもそも彼の評価基準は今はもう失われてしまった小さな血族コミュニティの中にしかきっとなかったのです。そこでだけ彼は「一族の中の賢い子供」 で、「誰かのいい息子」で「誰かの可愛い弟で誰かのやさしい兄」でいられた。それが全部消えてしまった時、消え損ねた子供は、かつて存在した者への司祭と して生きるしかなかったのではないか。それは本質的には生贄で、そして生贄に自我はない。
「桃がうまい。うれしい」とかはギリギリあるけど、「自分は果たしてこの桃を食べるのに値する人間か」とか考えない。そうゆうことを考えていたら食べられなくなるから。
だ から仙界一のイケメンで文武両道で一途で生真面目で師叔を永遠に幸せにしてくれるであろう楊ゼンは、あの世界では普通に考えて随一の好条件なんですが、で も師叔は「それが自分にふさわしい」から選んだんじゃない。「候補を並べて優良な・好ましい商品を買う」という発想は彼にはないです。多分「自分などに ずっとそうやって縋り続けるイケメンが不憫になったから」折れたっていうのが一番大きいはずです。その影にはもしかしたら主体的な欲望があったかもしれな いけど、それだけで関係を結ぶことは出来ない人だと思います。
でも半端な子供の時に帰属社会から切り離されたせいで彼の中には建前的な貞操観念が生きたものとして強固に残っているので、身も心も誰かのものになったらもう他の相手にほだされることもできなくて、
そうして一歩ひいて客観的に見れば楊ゼンがどんだけ特級品かっていうのは太公望だって理解しているし、そんな彼にたった一人の相手として扱われるのはやっぱ 45歳バツイチ小太り(もういいよ…)の慰みものにされるのとは全然違うし、だから太公望の自己評価を下げないためにも、楊ゼンにはいい男であり続けてほしいという気持ちが確かにあるのです。
というか太公望って本当に恋愛相手としては扱いにくい人だと思うので、逆説的に楊ゼン以外の手には負えないのではないかと思う。自分の中の恋心に人権を認めてないから平気で蹂躙することができるとか、そういう意味で。

拍手ありがとうございましたわーい!
以下コメントへのお返事です!!
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